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循環器内科・内科 まつばらクリニック|心臓専門医 循環器内科 不整脈 心筋梗塞 京都市 五条大宮

生活習慣病

その時々の情報を発信していきます。院長コラム

高血圧

 

血圧とは長いお付き合いが必要です。

血圧とは?

  • 心臓には部屋が4つあり、右の心臓と左の心臓に分かれています。
  • 左の心臓から全身に、右の心臓から肺に動脈と言う血管を通って血液が送り込まれています。
  • 全身に送り込まれた血液は右の心臓に肺におくりこまれた血液は左の心臓に静脈と言う血管を通って左右の心臓に戻ってきます。
  • 血圧とは動脈の壁にかかる圧力のことである。動脈は筒状になっています。

血圧とは:収縮期血圧と拡張期血圧

  • 収縮期血圧は心臓から血液が送り出される間の血圧(上の血圧)です。
  • 拡張期血圧は心臓の中に血液をためている間の血圧(下の血圧)です。
  • 収縮期の血圧のほうが常に高くなっています。

血圧とは:何で調整されているか

 

血圧は心臓から送り出される血液量と末梢血管抵抗により変化します。電流と電圧と抵抗の関係に似ています。末梢血管抵抗とは、血管の中を血液がどれほど流れやすいかを示す数値です。

 

血圧とは:末梢血管抵抗

 

血圧は心臓から送り出される血液量と末梢血管抵抗により変化します。電流と電圧と抵抗の関係に似ています。末梢血管抵抗とは、血管の中を血液がどれほど流れやすいかを示す数値です。

 

なぜ血圧が上がるのか

末梢血管抵抗が増し血液が流れにくくなると血管の中の圧力は大きくなります。また流れる血液量がふえても圧力は大きくなります。おもにこの二つの機序で血圧が上昇します。通常血圧は常に変動しており、末梢血管抵抗と血液量を調整し血圧を上げたり下げたりしています。

 

高血圧の原因

 

ではなぜいつも高血圧の患者様は血圧が上昇するのでしょうか。これにはいろいろな異常が関係していることがわかってきています。しかし非常に多くの異常があることが判明しておりまだまだ十分に解明されていないことがあります。また高血圧の患者様それぞれによりその原因は異なっています。

 

高血圧は国民病?

高血圧は日本の成人において最も罹患率の高い疾患であり、その患者数は現在約4,000万人といわれています。これは、乳児から高齢者まで全国民の4人に1人が高血圧であるということです。

高血圧の発症には、不健康な食生活や運動不足など生活習慣の歪みが深く関係しています。また、加齢とともに高血圧の患者は増加しています。現在、高カロリー食や自動車の普及といった生活習慣の欧米化が進み、世界に類を見ないスピードで高齢化が進行している日本では、高血圧の対策と予防は重要な課題となっています。

また高血圧患者様のうち治療を受けている人は全体の2分の1程度、治療を受けている患者様のうち血圧がコントロールできている人はさらに2分の1程度といわれています。これを「高血圧の2分の1の法則」といいます。つまり、高血圧の患者様の中で血圧がコントロールできているのはわずかに4分の1に過ぎないのです。

さらに詳しくみると本邦の高血圧患者のうち、30、40歳台では8割から9割の人が治療をうけていません。12事業所の6,186人の調査では、30歳代では、男女ともに約70%の人が未治療でした。40歳、50歳代男性においても、44%、39%が未治療でした。また、40歳、50歳代男女の高血圧であると認識しているひとも71-77%でした。

 

本態性高血圧とは?

高血圧には、原因不明の本態性高血圧と、他の臓器障害や薬剤摂取が原因で起こる二次性高血圧があります。日本人の高血圧の約90%は本態性高血圧に分類され、残りの約10%が二次性高血圧です。

本態性高血圧を発病させる血圧調節因子の異常は遺伝によるものと生活習慣によるものに分けられます。高血圧は遺伝による因子に環境からくる因子が絡み合って生じています。遺伝的な因子が約50%関係しているといわれますが、生活習慣を含めた環境因子も約50%関係しています。そのため、生活習慣病といわれます。

本態性高血圧では、40歳前後から年齢とともに徐々に血圧が上昇します。自覚症状のないことが多く、健康診断や偶然の検査でしばしば指摘されます。

 

本態性高血圧になりやすい生活習慣

  • 食塩過剰摂取
  • 肥満
  • 運動不足
  • 喫煙
  • 飲酒
  • ストレス

高血圧になりやすい生活習慣として、食塩のとりすぎ、肥満、運動不足、アルコールの摂り過ぎ、喫煙、ストレスなどが知られています。なかでも食塩は、血圧との関係がよく調べられています。平成13年度国民栄養調査によると、日本人の食塩摂取量は平均11.6gで、欧米に比べてまだ高い水準にあります。高血圧の人なら1日6g以下、正常血圧の人でも1日10g以下にすることが必要です。また、同じ量の食塩を摂取しても血圧が上がりやすい人とそれほど上がらない人がいます。

肥満で血圧が上がるのは、腹部の脂肪が血圧を上げる方向に働く物質を多く作ったり、血圧を下げる物質の産生が十分にできなかったりすることが挙げられます。また、太って層化した細胞のすみずみに栄養を送るために、細かい血管がたくさんできます。このような過剰な血管は、抵抗となって血圧を上げる方向に働きます。10kgの減量で血圧は約5~20mmHg低下します。

喫煙は、がんだけでなく心血管病の危険因子です。血管を収縮させることによって、血圧上昇ももたらします。

 

原因が明らかな二次性高血圧

原発性アルドステロン症
副腎に腫瘍ができ血圧を上げる物質をたくさん作る。

腎血管性高血圧症
動脈硬化などで腎臓の血管が細くなると、血圧を上げる物質が作られる。

これらの疾患の特徴は

原因が特定される高血圧です。

その頻度は稀ではありません。

無投薬での30分安静後の採血や腎血管エコー検査で診断します。

本態性高血圧と治療方法が大きく変わります。

血圧が怖い理由 1)心臓に悪い

血圧が高いと血液をおくりだすのに心臓に負担がかかり、心臓の筋肉が分厚くなります。このことを心臓肥大と言います。肥大した心臓は拡がりにくくなるため、血液をためにくくなります。つまり正常な心臓の機能ではなくなります。これを拡張不全と言います。

さらに高血圧が続くとその負担に耐えられず、次第に心臓が薄く大きくなります。このことを心拡大と言います。このとき心臓は縮んで血液を送り出す力が弱くなっています。これを収縮不全と言います。

最終的には心臓が正常に動かなくなり心不全の症状を自覚し命にかかわることもあります。心不全の原因疾患で最も多い病気です。

高血圧が怖い理由 2)高血圧は血管に動脈硬化を起こします。

動脈硬化はなぜ怖い 3)血圧は血管に傷をつけて重篤な病気を引き起こす

動脈硬化はなぜ怖い 3)血圧は血管に傷をつけて重篤な病気を引き起こす

久山町研究の第1集団(1961年開始)における追跡調査では、下のグラフの示すように日本人では血圧と脳卒中の発症率との間に正の相関があることが確認されています。「健康日本21」((財)健康・体力づくり事業財団)の調査結果では、収縮期血圧が10mmHgの上昇すると、男性では約20%、女性では約15%、脳卒中罹患・死亡の危険度を高めるとしています。

年齢ごと脳卒中リスクと収縮期血圧の関係

日本を含むアジア・太平洋諸国(オーストラリア、中国、香港、ニュージーランド、シンガポール、韓国、台湾)で実施された37のコホート研究を元に、収縮期血圧と脳卒中発症リスクとの関係を年代別に検討した成績です。いずれの年代においても、血圧の上昇に伴い、脳卒中の発症リスクが高まっています。このため、いずれの年代であっても、脳卒中抑制のためには、血圧を厳格に管理することが重要であるといえます。

年齢血圧区分と循環器疾患死亡の相対リスク

NIPPON DATA80(第3次循環器疾患基礎調査で登録された30歳以上の男女を19年間追跡調査)では、年齢区分を30-64歳、65-74歳、75歳以上に分けて循環器疾患死亡リスクを検討しています。その結果、男性の成績では高齢者は若年者と比較し、相対危険度は低いものの、血圧区分の上昇に伴い、相対危険度は高くなることが明らかにされています。よって、たとえ高齢者であっても、心血管死の抑制のために、厳格に血圧を管理することが重要であるといえます。

血圧測定方法

血圧の測定方法に3種類あります。一般的には診察室血圧で判定されています。最近は自動血圧計の進歩で家庭でも正確に血圧が測定できるようになり家庭血圧も高血圧の診断基準になりました。しかし測定機器は上腕測定機器であることや正確な測定方法が守られていることが重要です。例えば左腕測定と右腕測定とでは腕帯の巻き方が異なることはご存じでしょうか。とにかく患者様まかせの方法であり正確に測定されているか確認が必要と感じています。当院では血圧計は必ず持参してもらい測定方法を指導しております。24時間血圧は非常に有用な血圧測定方法です。患者様には煩わしい検査となりますが今後この方法での血圧評価の必要性は高くなると思われます。

家庭血圧・24時間血圧の重要性

血圧の測定方法に3種類あります。一般的には診察室血圧で判定されています。最近は自動血圧計の進歩で家庭でも正確に血圧が測定できるようになり家庭血圧も高血圧の診断基準になりました。しかし測定機器は上腕測定機器であることや正確な測定方法が守られていることが重要です。例えば左腕測定と右腕測定とでは腕帯の巻き方が異なることはご存じでしょうか。とにかく患者様まかせの方法であり正確に測定されているか確認が必要と感じています。当院では血圧計は必ず持参してもらい測定方法を指導しております。24時間血圧は非常に有用な血圧測定方法です。患者様には煩わしい検査となりますが今後この方法での血圧評価の必要性は高くなると思われます。

家庭血圧測定方法の注意

1.朝の場合は、起床後1時間以内 晩の場合は、就寝前 2.排尿はすませてから 3.1~2分の安静の後 4.食前、服薬前 5.心臓と同じ高さ 6.記録する

家庭血圧測定は大変です。

しかし当院ではメモリー機能つき血圧測定器を用いて当院のコンピューターでの血圧管理を積極的に行っております。毎日の記録作業が省略できます。測定した血圧はすべて記憶されます。血圧計を診察の時に持参していだきデータを紙にうちだしお渡しします。

このとき日々や期間の血圧の変化がよくわかります。これらのデータを詳細にみることにより患者様特有の生活習慣の血圧への影響を判明します。血圧値に一喜一憂せず、重要なのは変化したときどのような生活、健康状態であったかをすぐに省みることです。

24時間血圧測定法とは。

医師が血圧を測るときに腕に巻く腕帯を上腕に巻き、機器本体を腰につけておきます。機械本体から空気を自動的に取り込み、カフを膨らませて血圧を測定します。24時間、一定時間毎に測定した血圧をすべて記憶します。日常生活中の血圧が測れるのが特徴です。夜間高血圧や早朝高血圧の診断には極めて有用です。

高血圧と診断される血圧とは

診断の基準は近年大きく変化してきています。その理由は、これまでの多数の高血圧患者様の調査を基に合併症発病と血圧の関係を分析し、合併症予防の観点から治療介入基準が決められているからです。また測定方法により基準値も変わります。診察室血圧、家庭血圧、24時間血圧の順に基準値は低くなります。また、血圧値は複数回の平均血圧値ほど診断価値は高いと考えられています。複数回測定の場合よく患者様は代表血圧を最高値や最低値にされていますがそれは間違いです。

  収縮期血圧 拡張期血圧
診察室血圧 140 90
家庭血圧 135 85
自由行動下血圧 24時間 130 80
自由行動下血圧 昼間 135 85
自由行動下血圧 夜間 120 70

成人における血圧値の分類(mmHg)

血圧は高いほど危険性は高くなります。この分類でのⅠ度を軽症に、Ⅱ度を中等症に、Ⅲ度を重症と理解してください。重症の高血圧は基本的には直ちに薬による治療が必要となります。また、至適血圧は120/80mmHg未満です。おそらく驚かれるぐらい低い血圧です。さらに正常血圧120-129/80-84mmHgはすでに至適血圧をすでに超えており、正常血圧や正常高値血圧の人は生涯のうちに高血圧へ移行する確率が高いことが明らかにされています。したがってすくなくとも正常高値血圧は血圧測定機会を増やすことをお勧めします。

分類 収縮期血圧   拡張期血圧
至適血圧 <120 かつ <80
正常血圧 <130 かつ <85
正常高値血圧 130-139 または 85-89
Ⅰ度高血圧 140-159 または 90-99
Ⅱ度高血圧 160-179 または 100-109
Ⅲ度高血圧 ≧180 または ≧110
(孤立性)収縮期高血圧 ≧140 かつ <90

高血圧治療ガイドライン(JSH2009)

成人における血圧値の分類(mmHg)

  • 高血圧のみによる症状は乏しいので、症状を抑えるための治療することはあまりありません。
  • 心血管病・腎臓病などの合併症の発病を予防することが最大の目的となります。
  • 治療することで予防されることは多くの研究で証明されています。

治療方法の基本的な考え方

高血圧の主な発症原因に遺伝因子が関与しているため根本的治療方法はありません。環境因子は非常に重要な発病原因でもあるため生活習慣の修正を抜きには治療できません。しかし、この生活習慣の修正のみで目標血圧レベルに到達できる患者様は非常に少なく、大部分の患者様は薬物治療が必要となります。

まず危険性を見極める

高血圧の主な発症原因に遺伝因子が関与しているため根本的治療方法はありません。環境因子は非常に重要な発病原因でもあるため生活習慣の修正を抜きには治療できません。しかし、この生活習慣の修正のみで目標血圧レベルに到達できる患者様は非常に少なく、大部分の患者様は薬物治療が必要となります。

無症状の動脈硬化を診断する

高血圧の危険性判定に重要です。

高性能超音波器で評価します。解像力は0.1mmで非常に詳細に動脈硬化を評価できます。頸動脈の硬化は心筋梗塞や脳梗塞発病の予測します。また、経過観察することで動脈硬化にたいする治療効果も判定できます。

生活習慣の是正

  • 減塩は6g/日未満にする。
  • 野菜・果物の積極的に摂取する。
  • コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える。
  • 魚(魚油)の積極的に摂取する。
  • 減量は体重(Kg)÷身長(m)×身長(m)を25未満にする。
  • 心血管病のない高血圧患者が対象で、中等度の強度の有酸素運動を中心に定期的(毎日30分以上を目標に)行う。10分×3でもいい。
  • お酒はエタノールで男性20~30mL(日本酒1合、ビール中ビン1本、焼酎半合弱、ウイスキー・ブランデーダブル1杯、ワイン2杯弱)/日以下、女性10~20mL/日以下にする。飲酒後血圧は一時的にさがりますが、その後かならず上昇します。よく多量飲酒で血圧が過度に下がっておられる患者さがいますが決して良いことではありません。

日本人の食塩摂取量は多いので注意

薬物治療について -お薬を飲む前に-

他の薬を飲んでいる時は医師や薬剤師に相談しましょう 薬は水か湯冷ましで飲みましょう。お茶やジュース、牛乳などでは効果が変わってしまう場合があります。

薬物治療について -薬物治療にはどんな効果があるのですか?-

カルシウム(Ca)拮抗薬:血管を拡張させて血圧を下げる α1遮断薬:交感神経による血管の収縮を抑えて血圧を下げる 利尿薬:腎臓からナトリウムと水の排せつを促して血圧を下げる アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬:血圧を上げる物質ができないように、または血圧を下げる物質を増やして血圧を下げる アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬(ARB):血圧を上げる物質の作用をさまたげて血圧を下げる β遮断薬:交感神経による心臓の動き過ぎを抑えて血圧を下げる

薬物治療について -カルシウム拮抗薬-

血管を拡げて血圧を下げる
動脈の血管壁には、平滑筋細胞でできた層があって、この細胞が収縮することで血管は細くなり血圧が上がります。この収縮は、細胞内にカルシウム(Ca)イオンが流れ込むことが引き金になっています。ですから、このカルシウムイオンの通り道であるカルシウムチャネルをふさぐことで、平滑筋細胞の収縮を抑え、血管を拡げ、血圧を下げることができます。これがカルシウム(Ca)拮抗薬の働きです。
Ca拮抗薬は構造と作用によっていくつかの種類がありますが、高血圧によく用いられるのが、アムロジピンに代表されるジヒドロピリジン系のCa拮抗薬です。
Ca拮抗薬には、末梢血管を拡張させるだけでなく、心臓の血管も拡げる働きがあり、高血圧だけでなく、狭心症の治療にも用いられます。

薬物治療について -アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬-

血圧を上げる物質の作用をさまたげて血圧を下げる
ARB(エー・アール・ビー)と呼ばれています。
アンジオテンシンⅡはその受容体に結合してはじめて血管を収縮させ、血圧を上げる作用を示します。つまり、受容体への結合を妨げれば、血圧が上がるという反応は起きないのです。ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)は、アンジオテンシンⅡが受容体に結合するのを妨げて、血管を拡張させ、血圧を下げる作用を示します。
ARBは腎障害や糖尿病性腎症にも有用であることが報告されています。

薬物治療について -ACE阻害薬-

血圧を上げる物質ができないように、または血圧を下げる物質を増やして血圧を下げる。

血圧は身体の中のいろいろな仕組みによって調節されていますが、その中で大きな役割をもっているのがアンジオテンシンⅡという物質です。アンジオテンシンⅡには、血管を収縮させたり、腎臓でのナトリウムや水分の排出を抑えて血液量を増やす作用があり、血圧を上げる働きをしています。

このアンジオテンシンⅡは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用を受けてアンジオテンシンⅠから作られますが、ACEを阻害すれば作られません。それがACE阻害薬の働きです。アンジオテンシンⅡが作られなければ、その結果、血管は拡がり、血圧が下がります。
その他、ACE阻害薬は、心不全や腎障害(特に糖尿病性腎症)の治療にも有用であることが確認されています。
咳の副作用が比較的多いのも特徴です。

薬物治療について -利尿薬-

腎臓からナトリウムと水の排せつを促して血圧を下げる。
血液中の水分が増えると血管を流れる血液の全体量が増えてしまうことから、血圧が上がります。従って、血圧を下げるには尿の出をよくして血液中の水分を減らす方法があります。それを行う薬剤が利尿薬です。

現在、降圧に用いられる利尿薬は腎臓に働いてナトリウム(塩分)の排泄を促進し、尿量を増やします。ナトリウムには水を引き込む性質があるので、ナトリウムを排泄すると、血液中の過剰な水分が減っていくのです。

薬物治療について -β遮断薬-

交感神経による心臓の働き過ぎを抑えて血圧を下げる。
交感神経系の興奮は、ノルアドレナリンがβ受容体に結合することによって、心臓や血管に伝わります。β遮断薬は、β受容体に結合してノルアドレナリンの結合を妨げることによって心臓の心拍数を減らし収縮力を弱めます。その結果、血圧が下がるのです。

β受容体にはβ1、β2、β3の3種類が知られていますが、循環器系では、心臓にβ1が、血管にはβ2が多く存在しています。β遮断薬には、これら受容体を選択的に遮断して効果をより高いものにする工夫がされています。

薬物治療について -α遮断薬-

交感神経による血管の収縮を抑えて血圧を下げる。
交感神経系の伝達物質であるノルアドレナリンは、血管のα受容体と結合し血管を収縮させますが、その結合を遮断して、血管の収縮を抑え、血圧を下げるのがα遮断薬です。α受容体にはα1とα2とがありますが、その両方を遮断してしまうと血管の収縮は抑制できるものの、ノルアドレナリンが増えることがあることから、降圧薬としては、α1受容体遮断薬が使われています。このα1遮断薬は、降圧作用に加え、糖や脂質の代謝に良い影響があるとされています。

服薬上、注意していただきたいこと

  • きめられた量、回数を守る
  • 自分の判断で、薬を減量したり中止したりしない
  • 薬を飲んで何か異常を感じた時は、すぐに主治医に連絡して指示に従う

血圧の治療目標値

降圧目標は、年齢やその人が過去になったことのある病気や持病により異なります。
また血圧の測り方によっても異なります。

  診察室血圧 家庭血圧
若年者・中年者 130/85mmHg未満 125/80mmHg未満
高齢者 140/90mmHg未満 135/85mmHg未満
糖尿病患者
腎臓病患者
心筋梗塞後患者
130/80mmHg未満 125/75mmHg未満
脳血管障害患者 140/90mmHg未満 135/85mmHg未満

高血圧治療ガイドライン(JSH2009)

※診察室血圧と家庭血圧の目標値の差は、診察室血圧140/90mmHg、家庭血圧135/85mmHgが、高血圧の診断基準であることから、この二者の差を単純にあてはめたものである。

血圧の目標達成は意外と困難です

aJ-HOME研究は、3400人の高血圧の患者様の治療状態を調査した研究です。
その結果から以下のことがわかります。
1)約6割の患者様が降圧目標未達成です。
2)また治療には多剤が必要でした。

降圧目標達成率(J-GAP)

高血圧症の治療実態の調査Japan Guideline Assessment Panel (J-GAP) 2006年3月から6月の期間に全国の診療所、クリニックを中心とした、高血圧・高脂血症治療を実施している医師500人の協力を得て約5500名の患者を対象にガイドライン目標到達調査が実施されています。

血圧に関しては調査対象患者の67%が管理不十分であり、特に糖尿病・腎障害合併症例、及び65歳未満の患者においては80%以上が降圧目標に達していませんでした。

目標血圧値が低ければ治療が困難であることがわかります。

高血圧 まとめ

  • 診断を正確にしてください。
  • そのために家庭血圧測定を習慣にしましょう。
  • 家庭で測って頂いた血圧を基に診断・治療を行いますので、正しい方法で測定してください。
  • 高血圧は重篤な病気を引き起こす原因となります。
  • 重篤な病気を発病する危険性をしっかり評価しましょう。
  • 高血圧の根本治療はありません。
  • したがって血圧とは長いお付き合いが必要です。

高脂血症(脂質異常症)

 

悪玉と善玉のバランス改善して、
心筋梗塞・脳卒中などを 防ぎましょう!

血液中の脂質

血液中には4種類の脂質成分が含まれています。

  • コレステロール
  • 中性脂肪
  • リン脂質
  • 遊離脂肪酸

それぞれに体にとって重要な役割があります。コレステロールは、体の細胞の細胞膜の構成成分です。そして、副腎から分泌されるホルモンの材料にもなります。また、肝臓で合成される消化液、胆汁の主成分である胆汁酸の材料にもなります。中性脂肪は、体の主なエネルギー源である糖質が足りなくなったときのための貯蔵用エネルギー源で肝臓や脂肪細胞にたくわえられています。リン脂質は、脂質を水になじませる役割があります。脂質は、あぶらですから血液という水のなかには本来溶け込むことができません。タンパク質の一種のアポタンパクとリン脂質が、コレステロールや中性脂肪を包み込むリポタンパクという状態となって、脂質は血液のなかに存在しています。遊離脂肪酸は、中性脂肪がエネルギー源として使用される際に分解されてできるものです。

リポたんぱく

脂質をアポタンパクとリン脂質で包み込んだ粒子のことです。アポタンパクとリン脂質の水になじみやすい部分を血液側へ、なじみにくい部分を脂質のある内側へ向けてつくられた球形の粒子です。

この粒子には含まれるコレステロールと中性脂肪の量により低比重リポたんぱく(LDL)と高比重リポたんぱく(HDL)などに分類されます。
LDLコレステロールは血管壁に入り込んで動脈硬化の原因となることから悪玉コレステロールと言われ、HDLコレステロールは血液中の余分なLDLコレステロールだけでなく動脈硬化の原因となる血管壁に入り込んでいるLDLコレステロールも回収する働きをもつことから善玉コレステロールをと呼ばれています。

リボ蛋白の種類 中に含まれる主な脂質 リボ蛋白の働き
カイロミクロン 中性脂肪 食べ物から取り入れられた中性脂肪を肝臓や筋肉へ運ぶ。
超低比重リボ蛋白(VLDL) 中性脂肪
コレステロール
肝臓で合成された中性脂肪やコレステロールを脂肪組織や筋肉へ運ぶ。
低比重リボ蛋白(HDL) コレステロール 肝臓で合成されたコレステロールを全身の組織へ運ぶ。
高比重リボ蛋白(LDL) コレステロール 全身の組織か、過剰なコレステロールを回収して肝臓に戻す。

体内での脂質の動き

  • 脂質は、食事からとり込まれるものと、肝臓や腸などで作られるものがあります(①、②)。
  • 食事から体内に入った脂質は、小腸から吸収され、カイロミクロンの形になって全身の組織に運ばれます。一方、肝臓で作られたコレステロールと中性脂肪は、VLDLの形で血液中を運ばれる途中で、その中の中性脂肪が分離され、中性脂肪が少なくコレステロールを多く含むLDLになります。LDLは、血管や組織にコレステロールを引き渡します(③)。分離された中性脂肪は、分解されて脂肪酸となり全身の脂肪組織にとり込まれます(⑤)。
  • また、小腸や肝臓では、HDLが作られます。このHDLは、組織で余ったコレステロールを引き取って肝臓へと運ぶ働きを持っています(④)。

脂質異常症とは?

血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が多すぎる、あるいは善玉コレステロールが少なすぎる状態を脂質異常症といい、それぞれ高コレステロール血症、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症と診断されます。診断基準は右上表に示す通りです。
特に注意したいのは、血液中の悪玉(LDL)、善玉(HDL)の適正なバランスが崩れた状態である、高コレステロール血症と低HDLコレステロール血症です。

高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール ≧140mg/dL
低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール <40mg/dL
高トリグリセライド血症 トリグリセライド ≧150mg/dL

脂質異常はなぜ怖い -知らないうちに-

脂質異常症は自覚症状のない病気です。知らないうちに粥状動脈硬化と言う病気を引き起こします。この病気は血管の壁のなかに脂質がたまっていき壁にこぶのようなものができる病気です。これを粥腫と言います。この粥腫は年齢とともに大きくなっていきます。コレステロールがたまっていく病態を右図で示します。

流れ去らずに滞るLDLが血管内皮細胞の間を通り抜け血管壁の中に沈着します。LDLは動脈壁内での酸化ストレスにより酸化変性を受け酸化LDLとなります。これにより血管内皮細胞が表面に細胞をひっつける接着分子を発現します。これにひっついた単球と言う細胞が内膜の下に遊走します。単球はマクロファージと言う細胞に変身します。マクロファージは異物処理細胞です。酸化LDLをたくさん取り込み最終泡沫細胞になります。

この細胞はホルモンを放出し下にある平滑筋細胞を遊走・増殖させます。また泡沫細胞はその場所で死滅してしまいます。結果壊死物質や脂質が蓄積してコアを形成し、その周囲を平滑筋細胞とコラーゲン線維などが覆い大きなこぶができます。

脂質異常はなぜ怖い -そしてある日突然-

血管の壁の中のコレステロールのかたまりがニキビが潰れるように破裂すると、血管の中で血が固まり心筋梗塞・脳卒中につながってしまいます。したがって、脂質異常症は“サイレントキラー/静かなる殺し屋”という恐ろしい呼び方もされることがあります。

それを裏付ける疫学データ

我が国の調査では、下部グラフのようにコレステロールが高いほど、心臓の血管の病気である冠動脈疾患による死亡率が高くなることが示されています。また、右下グラフのようにHDL-コレステロールが40mg/dl未満になると冠動脈疾患の危険性が急に上昇することも示されています。

脂質異常症の疫学

人間ドッグ受診者の調査からみると2008年度調査において高コレステロール血症が、肝機能異常とともに経年的に増加していることがわかります。年代別にみてもどの年代でも高コレステロール血症の頻度が年々増加しているのは明らかであり、年代に伴う増加も60歳まではかなり急峻となっています。また40歳代男性の4割以上が脂質異常症となっています。


脂質異常症の疫学(女性)

女性の脂質異常症も年々増えています。50歳代女性の高トリグリセライド血症は5割を超えています。また、女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、脂質の代謝に深く関わっていることが分かっています。

エストロゲンは、肝臓でLDLが取り込まれる量を増やし、LDLコレステロールをスムーズに代謝させる働きを持っています。そのため、一般に若い女性は男性に比べ血液中のLDLコレステロール値が低く、動脈硬化が起こりにくいと考えられます。

女性の多くは更年期といわれる50歳前後で閉経を迎えますが、閉経すると体内のエストロゲンの量が急に減りはじめます。これに伴って、血液中のLDLコレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)は急に増えていきます。LDLコレステロール値は閉経前より20%くらい高くなり、60歳頃には女性の平均値は男性を上回ります。

日本人の動脈硬化性疾患による死亡率は増加している

下のグラフをみると、日本人の死因のなかで、動脈硬化性である心疾患と脳血管疾患は悪性新生物に次ぐ多さです。つまり、動脈硬化を原因とする病気で死亡している人は、がんに匹敵する数に上がります。

脂質異常症の成因

コレステロールは約70%が肝臓で生合成され残りの30%が食事から吸収されています。したがって生合成量は体質によって変わり、家族に脂質異常症の方がいるなど、脂質異常症になりやすい体質の方がおられます。逆に30%は食事から吸収されているので脂質異常症になりやすい体質がなくても、生活習慣の問題が大きければ脂質異常症になることもあります。メタボリックシンドロームは生活習慣の問題によって起こり、脂質異常症にも繋がる代表的な状態です。こうしたことから脂質異常症は生活習慣病の一つに挙げられているのです。

また、脂質異常症には特定の遺伝が関係するものがあります。とくに、「家族性高コレステロール血症」は、LDL受容体が生まれつき少ないために発病するものです。LDL受容体は肝臓にたくさん存在し、血液中のLDLコレステロールを引き込む働きをしています。このためLDL受容体が少ないと血液中のLDLコレステロール値が高くなります。日本人の500人に1人程度がこのタイプであることが分かっています。そのほかにも遺伝によってコレステロールとトリグリセライド(中性脂肪)が高くなる「家族性III型高脂血症」もあります。

脂質異常症の治療

脂質異常症の治療は、動脈硬化を予防するために行いますが、脂質異常症のほかにも、動脈硬化に悪い影響を及ぼす要因はたくさん知られています。これを危険因子と言います。代表的なものに加齢、高血圧、糖尿病、喫煙、動脈硬化による病気になった家族がいることなどがあります。

脂質コントロールの目標値は、下の表のように他の危険因子の数や、動脈硬化によって引き起こされる病気を持っているかどうかによって変わってきます。他の危険因子を持つ方は、脂質のコントロールに取り組むと同時に、他の危険因子の治療も行っていくことが欠かせません。

カテゴリーと管理目標からみた治療方針

高脂血症の治療方法

  • 食習慣の見直し
  • 運動療法
  • お薬での治療

食事療法はコレステロールを多く含む食品を減らす、食物線維を多く含む野菜などを積極的にとる、トリグリセライド(中性脂肪)の高い人は糖質やアルコールを控える、肥満を解消・予防するために、摂取カロリーのコントロールなどを行います。

運動療法は適度な強さのウォーキングなどの有酸素運動を続けると、トリグリセライド(中性脂肪)を減らし、HDLコレステロールを増やす効果があることが分かっています。また、運動は肥満の予防や解消に役立ちます。心臓、腎臓、関節などに病気がある方など、運動が勧められないことがありますので、必ず主治医に相談して、その指示に従って取り組むようにしてください。

脂質異常症の薬には、主にLDLコレステロールを下げる薬や、中性脂肪を下げる薬があり、医師は患者様それぞれに適した薬を処方します。薬を2~3ヶ月服用しても、脂質管理目標値まで下がらない場合には、薬の変更や増量が検討され、数種類の薬を併用して服用することもあります。

脂質異常症のお薬とは?

いろいろな薬があります。現在のところ一番治療効果が高いとされているスタチンを紹介します。スタチンはHMG-CoA還元酵素阻害薬で、肝臓でコレステロールが合成されるのを抑えることにより血液中のコレステロールが少なくなります。スタチンがHMG-CoA還元酵素を阻害することでLDL受容体が増加し、血中のLDLが肝臓に取り込まれます。これによって、血中のLDLが低下します。

このようなお薬を飲み続けると脂質値はどうなるの??

その他の薬

陰イオン交換樹脂薬(コレスチラミン、コレスチミド)
腸で胆汁酸を吸着して、腸から再び吸収されるのを抑える薬です。その結果、血液中のLDLコレステロールが効率よく代謝されるようになり、LDLコレステロール値を下げます。食事中に含まれるコレステロールの吸収を抑える効果もあります。HMG-CoA還元酵素阻害薬と一緒に使われたり、腎臓の機能が低下している場合などに使われます。トリグリセライド(中性脂肪)値を高くしたり、脂溶性ビタミンの吸収を抑えたりすることがあるので注意が必要です。また、胃腸で水分に触れると10倍程に膨れるため、正しい飲み方を医師や薬剤師に指導してもらいましょう。

小腸コレステロールトランスポーター阻害剤(エゼチミブ)
小腸からコレステロールが吸収されるのを妨げることによってLDLコレステロール値を下げます。HMG-CoA還元酵素阻害薬と一緒に使うことで、より強い効果が期待されます。ただし、HMG-CoA還元酵素阻害薬と一緒に使うと、とくに肝臓や筋肉の障害が起こりやすくなる可能性もありますので、定期的な血液検査が欠かせません。

EPA薬(イコサペント酸エチル)
青魚に含まれる成分(不飽和脂肪酸)から作られた薬で、トリグリセライド中性脂肪値を下げる効果があります。また、血液をサラサラにする効果もあります。

プロブコール(プロブコール)
LDLコレステロールを胆汁酸として排出させたり、LDLコレステロールの酸化を抑え動脈効果を予防する働きがあります。HDLコレステロール値を下げてしまうという難点があります。

フィブラート系薬(ベザフィブラート、フェノフィブラートなど)
主に、肝臓で中性脂肪が作られるのを抑える薬です。LDLコレステロール値を下げたり、HDLコレステロール値を上げる効果もあります。肝臓や筋肉に障害を起こす副作用が出ることがありますが、定期的に血液検査を行うことで、副作用を早く見つけることができ、ひどくなるのを防ぐことができます。

ニコチン酸製剤(ニコチン酸トコフェロール、ニコモールなど)
ビタミンの一種で、肝臓でトリグリセライド(中性脂肪)が作られるのを抑えます。また、HDLコレステロール値を上げる効果もあります。血管が拡がって、顔が赤くなったり、熱っぽくなったりする副作用が現れることがあります。

お薬で治療すれば本当に病気は予防できるの?

高脂血症治療の目的は、冠動脈疾患のイベント発症を未然に防ぐ事です。しかし長期間服用することになる治療ですから本当に薬で病気の予防ができているのかを調べる必要があります。その目的で多くの大規模臨床試験が行われ、LDL-Cを低下させる事で冠動脈疾患の発症率を低下させるというエビデンスが蓄積されてきております。

下図はスタチンというお薬を用いた主な臨床試験でのLDL-C値と冠動脈疾患イベント発症率の関係を示したものです。
スタチンを用いてLDL-コレステロールを下げる事で病気してない人も一度病気をおこしている人も冠動脈病気や脳卒中を予防できることが示されています。 また一度発病した患者様は非常に再発する危険性が高いことがわかります。したがってLDL-Cを100mg/dL未満まで積極的に下げる事で、再発をの低下が期待できないこともわかります。どの程度までLDLは下げるべきか、また患者様によって目標を変えるべきか、などの研究はなお続いており、今後治療方針は変化することが予想されます。

積極的な治療を継続すると・・・

善玉と悪玉のバランスが良くなると粥腫は小さくなるのか?

なぜ悪玉と善玉のバランス(LDL÷HDL)が小さいほど、血管がキレイになるのか?

ほんとうに小さくなっているのか?血管の断面での評価

血管内超音波は、右上図のようにカテーテルの先端から高周波超音波を発信しながら超音波装置のみ回転させて血管の断面図を描出する検査方法です。血管壁の構造や動脈硬化病変の形態、性状を詳細に評価できます。

この方法で下図のように脂質のたまりが小さくなることが確認されています。この方法用いて脂質のたまりの変化と治療による血液中の脂質成分の変化を調べた研究もあります。

右下図は血管内超音波で記録された実際の血管のイメージです。このような悪玉コレステロールが減少しプラークが小さくなった自験例もあります。

脂質改善とプラーク退縮の関係 “アテローム領域の進展・退縮”とLDL-C / HDL-C比の関係

血管内超音波を用いて冠動脈プラークを評価した4つの臨床試験(REVERSAL,CAMELOT,ACTIVATE,ASTEROID)の症例1455例を対象に分析した結果が報告されています。LDL-コレステロール/HDL-コレステロールの比が小さくなると冠動脈の脂質のたまり(プラーク)の体積が小さくなることがわかります。

しかし心筋梗塞を予防するのにプラークを小さくしなければならないことはまだ証明されていません。少しでも大きくなれば絶対に心筋梗塞をおこすとも考えられません。したがってこの比を下げるためにLDLコレステロールの低下のみに注目すべきではなく、HDLコレステロールを上昇させることにも重点をおいて治療していきたいと思っています。

メタボリックシンドローム

 

「メタボリックシンドローム」は内臓脂肪を減らすことで抑えられます。 一緒に頑張りながら治療しましょう。

メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドローム」は、「内臓脂肪症候群」とも呼ばれ、複数の病気や異常が重なっている状態を表します。どういう状態かというと、腸のまわり、または腹腔内にたまる「内臓脂肪の蓄積」によって、高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病の重なりが起こっていることを示しています。

そして、この状態は、心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化を急速に進行させてしまいます。つまり、それぞれの病気の診断基準を満たさない“予備群”や“軽症”の状態であっても、それらが2つ3つと複数重なっている場合は、動脈硬化の進行予防という観点から“すでに手を打たなければならない状態”として捉える、ということが「メタボリックシンドローム」の考え方なのです。

肥満には2つのタイプがある

肥満には「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」があります。内臓脂肪型は内臓のまわりに脂肪が溜まる肥満で、お腹がぽっこり出た体型からリンゴ型肥満とも呼ばれます。皮下脂肪型は腰回りやお尻、太ももなどの皮下に脂肪が溜まる肥満で、洋ナシ型肥満とも呼ばれます。メタボリックシンドロームで問題なのは、内臓脂肪型肥満です。

内臓脂肪と皮下脂肪、どう違うの?

肥満には「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」があります。内臓脂肪型は内臓のまわりに脂肪が溜まる肥満で、お腹がぽっこり出た体型からリンゴ型肥満とも呼ばれます。皮下脂肪型は腰回りやお尻、太ももなどの皮下に脂肪が溜まる肥満で、洋ナシ型肥満とも呼ばれます。メタボリックシンドロームで問題なのは、内臓脂肪型肥満です。

CT画像で「内臓脂肪」を見てみると…

肥満には「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」があります。内臓脂肪型は内臓のまわりに脂肪が溜まる肥満で、お腹がぽっこり出た体型からリンゴ型肥満とも呼ばれます。皮下脂肪型は腰回りやお尻、太ももなどの皮下に脂肪が溜まる肥満で、洋ナシ型肥満とも呼ばれます。メタボリックシンドロームで問題なのは、内臓脂肪型肥満です。

肥満は増えている。1.BMIによる肥満度の判定

肥満は増えている。2.日本における肥満者(BMI 25以上)の男女別割合

肥満患者様は年々増加しています。
平成16年で30~60歳代の男性、60歳代の女性の約3割が肥満です。

肥満は増えている。3.各都道府県民平均BMI

もっとも肥満は沖縄県【24.3】で、もっともヤセは三重県【22.3】 です。

なぜ、内臓脂肪は蓄積するの?

肥満の発病には、①エネルギー摂取量、②エネルギー消費量、③摂取カロリーの脂肪組織への蓄積のしやすさが関係しています。①②は環境要因に影響をうけ、③は遺伝素因により主に規定されます。エネルギー摂取量は食事のカロリーのことであり、近代社会における食習慣の欧米化により食事のカロリーは非常に増加しました。ファストフードをはじめとする欧米由来の食品は脂肪分の含量が多いため、そのエネルギーは和食と比べ高くなります。ストレスによる過食も摂取カロリーを増やします。

この現象は、食欲を調節する食欲中枢にストレスが影響していることを推測させます。この食欲を調節している食欲中枢は脳の中の視床下部にあることがわかっています。現在この視床下部に作用して食欲を促進しあるいは抑制する物質が発見されており、一部は肥満の治療薬となっているものもあります。しかし、その全貌はまだ解明されておらず、今後の研究に期待がかかります。

一方、エネルギー消費は基礎代謝と運動で消費されるエネルギーの二つに分けられます。基礎代謝は加齢、遺伝子因子で影響を大きく受けます。運動で消費されるエネルギーも、現代社会の生活習慣の変化により大きく減少しています。この原因には、肉体労働が減少、電化電子化による家事労働の減少や趣味の変化、交通手段の発達による運動不足、などがあげられます。

これらとは別に生まれつきエネルギーのためやすい遺伝子をもっておられる患者様もいます。やせの大食いは、太りやすい体質と真逆な体質を示しており、これらの事実から、肥満には体質、すなわち遺伝的な要因が関係していることが分かります。しかしながら、エネルギーを使わずに貯めておくことは、人類が長い飢餓の時代を生き抜くために必要とされたことで、進化の過程でこの体質が保存されてきたとも考えられます。この仮説を倹約遺伝子仮説といいます。近年の分子遺伝子学の進歩でより、肥満に関係する遺伝子はいくつか解明されています。

また、肥満は単一の遺伝子で発症するのではなく、複数の遺伝子の複合的効果に環境要因が加わって発症すると考えられています。近い将来、個々の遺伝子パターンから個別治療が可能になるかもしれせん。

内臓脂肪はなぜいけない 肥満になるとインスリン抵抗性になる

人間の体は顕微鏡でみないとわからないような“細胞”という小さな部屋の集合体です。この細胞のエネルギー源は糖です。この糖分はどのように細胞の中に送られてくるのでしょうか。ご飯・パン・うどんなどの炭水化物を消化管で消化酵素により分解しブドウ糖にします。ブドウ糖は腸から吸収され、血液の中に入り体内をめぐります。血液中のブドウ糖が増えると、すい臓はそれを感知し、インスリンというホルモンを分泌します。

体の細胞の表面には、インスリンが結合する部分(インスリン受容体)があります。そこにインスリンが結合すると、細胞の表面に、ブドウ糖の細胞内への入り口が現れます。血液中のブドウ糖は入り口に結合し、細胞内に取り込まれ、細胞のエネルギー源になります。こうしてインスリンのおかげで血液を流れていたブドウ糖は減少します(血糖値の正常化)。するとすい臓はそれを感知し、インスリン分泌を低下させます。このように、炭水化物を食べて血糖値が高まるたびにインスリンが分泌され、糖分は細胞に取り込まれ、血液中の糖分の値は元に戻ります。インスリンは体が糖分を利用するために、また血糖値をコントロールするために必要な、大切なホルモンなのです。

「インスリン抵抗性」とはブドウ糖が細胞内に入りにくくなっている状態です。血糖値が高まるたびにすい臓はがんばってインスリンを分泌し、高まった血糖値を元に戻します。しかしそれがあまりに度重なると、体の細胞はインスリンの作用に対して鈍感になります。インスリンがあるにも関わらず、細胞がブドウ糖を取り込まなくなるのです。すると血糖値は高くなったまま低下しません(高血糖)。すい臓はまだインスリンが足りないものと勘違いし、さらに大量のインスリンを分泌します(高インスリン血症)。すると体細胞はますますインスリンにうんざりし、ますますインスリンが効かなくなります。これがインスリン抵抗性です。

私たちは何度もの飢餓を生き延びてきた人々の子孫です。私たちの体には、栄養が余れば将来のために蓄えておくシステムが備わっています。インスリンは、余ったブドウ糖を脂肪として、特におなか周りの脂肪細胞の中に蓄積させます。つまり「高血糖・高インスリン」の状態はメタボの始まりなのです。脂肪細胞はインスリン抵抗性を悪化させる因子を分泌します。こうしてメタボはインスリン抵抗性を招き、インスリン抵抗性はさらなるメタボを招くという悪循環が形成されます。

インスリン受容体の働きが悪くなる原因は、肥満により、脂肪細胞に多くの中性脂肪がたまることでインスリン受容体の数が減って、インスリンの効きが悪くなる、また、インスリンの働きを悪くする「腫瘍壊死因子(しゅよう えし いんし)」や「遊離脂肪酸(ゆうり しぼうさん)」などが脂肪細胞から分泌される、などがあります。他にも、インスリン受容体や細胞の中の情報を伝達する経路に異常がある場合もあります。

内臓脂肪はなぜいけない インスリン抵抗と脂質異常



メタボリックシンドロームでは、血液中の脂肪酸が増加します。これは脂肪組織にたくさん貯蔵されたトリグリセライドが分解されたものです。この脂肪酸はインスリンの作用を弱めることがわかっています。また、インスリンは脂肪細胞での脂肪分解を抑制しているので、脂肪細胞でのインスリン作用が低下するとさらに脂肪分解が亢進し血液中の脂肪酸が増加します。骨格筋では脂肪酸はインスリンによる糖の取り込みを障害し、トリグリセライドとして蓄積されます。筋肉が霜降り状態になります。一方、肝臓においては脂肪酸は糖新生の亢進させ、結果血液中の糖を増加させます。また肝臓内のトリグリセライドの蓄積も増加させ、結果超低比重リポ蛋白(VLDL)の産生を増加させます(図1)。

脂質の体内輸送は肝臓を起点とし、末梢組織を経由して肝臓に戻るルートを取ります。肝臓から末梢組織へコレステロールを輸送しているのがVLDL及びLDLコレステロールです。末梢組織からコレステロールを肝臓へ戻すのがHDLコレステロールです。
しかしVLDL、HDLは粒子間でもトリグリセライド(TG)とコレステロールの転送交換を行っています。ヒト血漿中のコレステロール逆転送系では、HDL上で生成したコレステロールエステルをVLDLに移送し、最終LDLに変化し肝臓に戻ります。
つまり、体細胞から肝臓に向かうコレステロール輸送の主要ラインであるHDL線に対して、肝臓に向かうバイパスがVLDL/LDL線であり、その乗換駅がコレステロールエステル転送蛋白(CETP)と考えると理解しやすいと思います(図2)。
この反応ではHDLのコレステリルエステルと、VLDL内のTGとの交換が起こり、TGは豊富なHDLが作られます。このHDLは肝性リパーゼや血管内皮リパーゼなどで分解され小型化したHDLとなります。
このHDLは異化されやすく、結果低HDL-C血症になります。また、LDLとVLDLとの間でもトリグリセライドとコレステリルエステルの交換が亢進しており、LDLのトリグリセライドの比率が高くなり、肝性トリグリセライドリパーゼによりトリグリセライドが水解されLDL粒子のサイズが小型化します(図3)。これを小型高密度LDLと言います。これは、より強いアテローム形成作用を持つと考えられています。

内臓脂肪はなぜいけない インスリン抵抗性から高血圧が発病します。

肥満になると先ほど説明したようにインスリンの作用が低下しインスリンがたくさん膵臓から分泌されます。このインスリンがたくさんあると必要以上に交感神経を働かせます。交感神経は体の色々なところの機能を調節している神経です。交感神経は心臓を強く働かせ心臓からおくり出される血液量を増やします。また血管も収縮します。この結果血圧は上昇します。またインスリンは腎臓からの塩分の排泄を減らすことがわかっています。以上のような機序で血圧が上昇すると言われています。

内臓脂肪はなぜいけない
脂肪細胞からは、様々な「アディポサイトカイン:脂肪組織由来生理活性物質」が分泌!

脂肪細胞は体の中で最大の内分泌臓器です。脂肪細胞からは「アディポサイトカイン」というホルモンが分泌されており、「善玉」と「悪玉」のものがあります。

内臓脂肪が過剰に蓄積していない 標準体型では、脂肪細胞から「アディポネクチン」が多く分泌!

「アディポネクチン」は、動脈硬化予防効果のある善玉のアディポサイトカインです。血管の細胞に直接作用して、一連の動脈硬化進展課程(“脂質異常はなぜにこわい”を参照)を抑制することが分かっています。

内臓脂肪が蓄積すると、「アディポネクチン」はどうなるの?

内臓脂肪の蓄積は、善玉の「アディポネクチン」の分泌を減らし、悪玉のアディポサイトカインの分泌を増やしてしまいます。

「メタボリックシンドローム」と診断される基準値は?

「ウエスト周囲径」の正しい測り方は?

立位で息を吐いたあとに、おへその周りを測りましょう。

女性は、「ウエスト周囲径」の測定位置を勘違いしやすいので注意!

「ウエスト」というと、女性は胴の一番細いところを測りがち。測定位置をきちんと指導することが大切です。

「メタボリックシンドローム」の患者は、心血管系疾患の危険度が1.8倍も高い

40歳以上の日本人男性808例・8年間にわたる研究結果
-メタボリックシンドローム患者と非メタボリックシンドローム患者での比較-

「心血管系疾患」とは、心臓や脳の血管で生じる病気

「動脈硬化」によって、心臓では狭心症や心筋梗塞、脳では脳梗塞などが発症します。

現在、日本の約30%の人々が「心血管系疾患」で亡くなっています

脳血管疾患は、「寝たきり」の原因の第1位

寝たきり」の原因の3割以上が脳血管疾患を占め、その後遺症に悩む患者は、約170万人!

日本人の脂質摂取量は、増加傾向

食生活の欧米化に伴い、日本人の脂質摂取量は適正域を既に上回り、米国人に近づきつつあります。

健康診断で、検査値に何らかの異常を示した人は、約2人に1人!

検査値に異常を示した「有所見者」の割合が、年々増加中。

健康診断で、検査値に異常を示していたら?

検査値異常の要因が、「内臓脂肪の蓄積」によるものか否か、まずは「ウエスト周囲径」を測定して、明らかにしましょう!

「メタボリックシンドローム」と診断されたら?

そのまま放置せず、医療機関にて、管理・指導・治療を受けることが、心血管系疾患の予防に大切です!

「メタボリックシンドローム」はどうやって治療するの?

個々の疾患を1つずつ治療していくというよりは、むしろその上流にある「内臓脂肪」を少しでも減らす事が重要!

内臓脂肪を減らすには?

内臓脂肪を減らす基本は、まずは「運動療法」!
そして、食事療法も含めた生活習慣の是正が大切です。

なぜ運動療法をするの?

内臓脂肪は燃焼しやすいため、日々の適切な運動によって、内臓脂肪を減らすことが可能!
運動療法は、善玉の「アディポネクチン」も増やします。

運動療法のポイント

街中は無料の「ジム」

万歩計をつけよう

日頃の運動不足を再確認するために、万歩計をつけて、鈍った体に活を入れましょう。

なぜ食事療法をするの?

過食や食生活の乱れに伴う、「内臓脂肪の蓄積」を是正するため。

食事療法のポイント

1日の適正エネルギーは?

ウエスト周囲径を1cmでも減らす努力を!

ウエスト周囲径をまめに測って、「内臓脂肪の蓄積」を確認し、内臓脂肪を減らす努力をしましょう。

低HDL血症のお話

HDL-C値と冠動脈疾患のリスクが逆相関することは欧米のみならず、わが国においても確立した事実です。しかし、冠動脈疾患発症率に対するHDL-C値の閾値はなく、連続的なものであり、低HDL-C血症の境界を設定することは困難である。わが国の疫学調査においてHDL-C値40mg/dl未満で冠動脈疾患の危険性が急に上昇するとの報告があります。また欧米で40mg/dl未満を低HDL-C血症としています。低HDL-C血症は冠動脈疾患の危険因子ですが、逆にHDL-C値が高いほど冠動脈疾患の危険因子は減少します。

疫学調査の結果では、HDLコレステロ-ルが1%低下すると、狭心症や心筋梗塞の発生頻度が2~3%増加すると考えられています。イスラエル、オ-ストラリアで行われたコホ-ト研究ではHDLコレステロ-ル低値は明らかな脳梗塞の危険因子になっていました。

CA1HDLコレステロール値を増加させる因子としては、1)禁煙、2)運動、3)大豆などの植物性蛋白、植物油(オリーブ油)、魚油(新鮮な青魚)、4)肥満の解消、5)適度な飲酒があげられています。

HDLコレステロール値を大幅に上昇させる薬はありません。ですから、HDLコレステロール値をできるだけ上昇させるように努めることだけでは、十分な動脈硬化予防対策にはならず、他の冠動脈危険因子の排除、インスリン抵抗性の改善が大切です。

EPA(エイコサペンタエン酸)

EPAは専門的には、“多価不飽和脂肪酸”と呼ばれ、DHAと同じく脂肪の仲間です。

青魚のサラサラ成分「EPA」は、体内ではほとんど作られない必須脂肪酸の一つです。

EPAの効果

メタボリックシンドロームの診断基準では高トリグリセリド血症(150 mg/dL以上)や低HDLコレステロール血症(40 mg/dL未満)がリスク因子として挙げられていますが、これらを共に呈する症例に対し、EPA製剤は53%の有意な冠動脈イベント抑制効果があると示されています(国内の臨床試験により)。

JELIS 1次予防サブ解析

登録時に高トリグリセライド(TG)および低HDL-Cであった群では、TGおよびHDL-C正常群に比して有意にイベント発症率が高いことが認められました[ハザード比(HR):1.71、95%CI:1.11~2.64、p=0.014]。

そこで、高TGおよび低HDL-C群における冠動脈イベント発症率を対照群とEPA群の両群間で比較したところ、対照群に比較して、EPA群では53%もの有意な低下が認められました(HR:0.47、95%CI :0.23~0.98、p=0.043)。

1次予防全例におけるEPA群の冠動脈イベント減少率が18%である一方で、高TGおよび低HDL-C群におけるEPA群の冠動脈イベント減少率が53%であったことからも、EPA製剤がより大きなイベント抑制を発揮する高リスク集団であることを示す非常に重要なデータとなりました。

高TGおよび低HDL-C血症の患者群において、EPA製剤は優れた冠動脈イベント抑制を示したことから、内脂肪蓄積を上流因子とするメタボリックシンドロームや動脈硬化にも有用である可能性があると考えられます。

運動療法

 

運動で脳卒中、心筋梗塞、癌を予防しましょう。

なぜ運動療法をするの?

内臓脂肪は燃焼しやすいため、日々の適切な運動によって、内臓脂肪を減らすことが可能!
運動療法は、善玉の「アディポネクチン」も増やします。

運動療法のポイント

街中は無料の「ジム」

「ジム」に通うなど、特別なことをするのではなく、日常生活に運動を取り入れていきましょう。

万歩計をつけよう

日頃の運動不足を再確認するために、万歩計をつけて、鈍った体に活を入れましょう。

“ライフコーダ”による身体活動評価

1.これからの健康づくりのための運動は量より質が重要とされています。

2.“ライフコーダ”による身体活動評価


3.特徴=ライフコーダならわかります!=

腰に装着するだけであなたの生活習慣を記録します!!

  • 腰に装着していれば24時間あなたの活動状態を記録していきます。
  • 生活状態がグラフに現れるため努力した成果が確認できます。
  • 長期的にデータが確認できるため、週単位・月単位での生活改善に役立ちます。
  • 毎日の総消費カロリー、運動消費カロリーが確認できるため、食事とのバランスを考えるのに役立ちます。
  • 運動強度が2分単位で棒グラフに表現されるため、その日の活動を見ることが出来ます。
  • 毎日の歩いた歩数はもとより、一週間のメモリとその合計も確認できます。
  • USBでパソコンに通信し、詳細なデータを出力できます。

4.ライフコーダの表示機能

5.測定項目 表示モード

6.測定項目 表示モード

運動とがん予防

身体活動の不足が、がん発生に関連することが研究により示されています。身体活動や肥満と発病との関連がしめされたがんを以下の表に示します。予防効果の期待できる身体活動としては、“最低30分の適度な強度の身体活動(歩行)を毎日すること”および、体力向上を目的に“60分以上のやや強度の高い運動、あるいは、30分以上の強度の高い運動を毎日実施すること”が推奨されています。

身体活動ががんを予防する機序としては、抗酸化能力の機能亢進、ホルモンレベルの正常化、免疫機能の亢進などが考えられています。

減塩指導

 

無理のない減塩 ~高血圧の方の食事~
食塩摂取量と高血圧には密接な関係があります。

日本人の食塩摂取量は多い

日本人の食塩摂取量が多いことは良く知られています。 日本人の食塩摂取量の年次推移を見ますと、低下傾向ではあるものの、平成20年において10.9gと高血圧患者の減塩目標値とされている6g/日とはかなりギャップがあることが示されています。 また、世界においても、日本人の食塩摂取量が多いことがお分かりいただけます。

■日本人の食塩摂取量の年次推移

また、世界においても、日本人の食塩摂取量が多いことがお分かりいただけます。

■世界における日本の食塩摂取量

食塩摂取量と収縮期血圧には関係がある(Intersalt研究)

INTERSALT研究:24時間蓄尿により尿中ナトリウム排泄と血圧の関連について検討した国際共同研究。

参加国:32カ国52集団(含:日本3集団:大阪、富山、栃木))
対象:20~59歳の男女
登録数:10,079例(男:5,045例、女:5,034例)

食塩摂取量の多い集団では年齢とともに血圧が上昇する度合いが大きいこと、また、個人間の検討で、ナトリウム摂取量は血圧と正の関連などが正の相関があることが明らかになった。

食塩は心血管系イベントのリスクである

食塩摂取量と脳卒中には関係がある

減塩による降圧効果がある(DASH Study)

減塩よる降圧効果
減塩することで血圧を低下することが報告されています。

 

野菜、果物、低脂肪乳製品などを中心とした食事摂取

飽和脂肪酸とコレステロールが少なく、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、食物繊維が多い

減塩による病気を減少させる効果があります

減塩目標:日本高血圧学会では食塩摂取量1日6g未満の目標を掲げています。

高血圧患者の食塩摂取量 6g/日未満の遵守率は低い

日本人における食塩の摂取源と寄与割合

わが国における食塩の摂取源と寄与割合(INTERMAP 日本, 40~59歳男女 計1,145人, 1996~99年)
(Anderson CM et al,2010より作成)

減塩のコツ
Ⅰ. よく使う調味料の塩分 計量の習慣をつけ、薄味になれましょう。

まず、計量の習慣をつけることから始めましょう

塩分10gはこれくらいの量です。

減塩のポイント1

  • 料理の調理法(蒸す・茹でる・揚げる・炒めるなど)の組み合わせを工夫しましょう。
  • だしは濃いめでとりましょう。
  • 味付けは料理の仕上がりにつけましょう。もしくは、味付けをせずに調理し、食べるときに計測した醤油やソースをかける方法もあります。
  • 塩は魚や肉料理に使用しましょう。
  • 減塩しょうゆや減塩みそも、使う量が多ければ塩分も増えます。使いすぎては意味がありません。

減塩のポイント2

  • 酢・レモン・ヨーグルトなどの酸味をとりいれましょう。
  • 香辛料(コショウ・カレー粉など)や、辛味(わさび・からし・しょうがなど)を上手に使用しましょう。
  • ゆず・しそ・みょうが・ハーブなどの香りのある野菜や、海苔・かつおぶしなどを加えると、薄味の料理にも変化がつきます。

減塩のポイント3

  • 香ばしさもまた塩分のとりすぎを抑えてくれます。焼き物にする、炒った胡麻やくるみなどで和えるなど、調理に利用しましょう。
  • 揚げ物、油炒めなど、油の味を利用して食べるのもよいでしょう。胡麻油やオリーブオイルを、食べる前に少しかけることで風味が増し、おいしく食べられます。ただし、脂質のとりすぎにならないように、油を使ったメニューばかりにならないよう気をつけましょう。

減塩のポイント4

  • 塩漬け・ぬか漬けは、製品ごとに塩分料は違いますが、一般に漬け時間が長いと塩分は高くなります。減塩には水に浸して塩抜きします。
  • 漬物は1日1回にとどめ、かけ醤油は控えましょう。
  • ふりかけやお茶漬け、漬物を食べた場合は、おかずを薄味にしましょう。

減塩のポイント5

  • パンにも食塩が含まれます。ハム・チーズなどがはいったものや、バター・マヨネーズ・ソースを多く使ったものにはさらに塩分が多く含まれるので、注意しましょう。
  • 甘いパンやお菓子にも食塩が含まれます。せんべいは同じ重量なら塩味よりも醤油味の方が塩分が多いことが多いようです。せんべいは個包装でないものは1回量20~30gを限度としましょう。

減塩のポイント6

  • 魚・加工品の漬け醤油は控えましょう。
  • 缶詰には味付け不要なほど十分な塩分量があります。サラダやあえ物などほかの材料とあわせて使う場合は、缶詰の塩分量を考慮してください。
  • 加工品の味を利用して、調味料の分量を調節しましょう。
  • 加工品の「甘口」「うす塩」「甘塩」などの減塩を意識した製品もありますが、公の基準がないので注意しましょう。
  • インスタント麺のスープは残しましょう。

外食を上手にとるために

  • 汁物・スープ・漬物は残しましょう。
  • 料理に、塩・しょうゆ・ソースをかけないようにしましょう。
  • 全体に食べる量を減らしましょう。
  • なるべく、外食の頻度を減らすことが望まれます。

今日から家族全員で減塩につとめましょう。

~本日はご苦労様でした~

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